バイス&サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-&ミナリ&ドライブ・マイ・カー

「バイス」。
ディック・チェイニー元副大統領を描いた、実名映画です。まずこの内容を、
よく映画にできたなと感心します。そういう点では、さすがアメリカです。
そっくりさんがいっぱい出てきて、忖度や遠慮の塊の日本ではあり得ない描
写が続きます。でも途中の終了しそうなテロップや、ナレーターの状況や、
ラストのウエスト・サイド物語の「America」など、ウィットに富み思いっ
きり登場人物を馬鹿にしています。そして主演のクリスチャン・ベールはす
ごいです。「ダークナイト ライジング」とも「フォードvsフェラーリ」とも
まったく違う彼でした。
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「サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ-」。
ドラマーのルーベンは、恋人のルーとロックバンドを組み、トレーラーハウ
スでライブに明け暮れていました。しかしある日ルーベンの耳が、ほとんど
聞こえなくなってしまいます。医師から回復の見込みはないと告げられた彼
は自暴自棄に陥りますが、ルーに勧められ聴覚障害の支援コミュニティへの
参加を決めます。耳が壊れてしまったルーベンと同じような世界が、映画で
再現されます。まるで自分が突然音が聞こえないように…。なかなか不思議
な感覚でした。そしてラストシーンでは、彼と同じ気持ちになりました。
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今年のアカデミーも聴覚障害の家族のお話「コーダ あいのうた」が作品賞を
受賞しましたし、障害のある方への理解が深まっていると思います。

「ミナリ」。
1980年代農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アーカン
ソー州の高原に家族と共に引っ越してきます。荒れた土地とボロボロのトレー
ラーハウスを見た妻のモニカは、夫の冒険に不安を感じますが、しっかり者の
長女アンと心臓に病を持つ弟のデビッドは新しい土地に次第に慣れて行きます。
まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、不思議な同居生活が始まります。
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夢を追う男性と現実を考える女性の価値観は、かなり違いますね。その間を、
おばあちゃん役のユン・ヨジョンがうまく繋いでいます。


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「ドライブ・マイ・カー」。
最後に、アカデミーの国際長編映画賞を獲った「ドライブ・マイ・カー」を…。
長い映画ですが最初の方のシーンで「なぜその場で確認して激怒しないのか」
という私の疑問をずっと引きずった作品でした。日本映画、私小説的でこうい
うお話が多いのであまり観ないのですが、これも変わらなかったですね。ずっ
と台詞で語らせる展開と、チェーホフの多国籍言語劇が重なって最後はちょっ
と苦しくなりました。主人公の家福は、所謂めんどくさいヤツですw。ラスト
が韓国だったのも、意味がわからなかったしな。
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